『みんなの願いが宇宙に届いた!』
〜日本最初のアマチュア無線による宇宙交信〜
ARISSのQSLカード
ARISSのQSLカード

 11月23日(金)午後10時31分42秒、「国際宇宙ステーション」(写真提供・NASDA)に向けて日本で最初の無線交信がはじまりました。200人の観衆が見守る中、かすかにフランク宇宙飛行士の音声が聞こえた瞬間、会場から大きな歓声が上がりました。
 既に、11月24日(土)朝から各メディアを通して、児童センター無線クラブ(社団局:JK1ZAM)による日本最初の「国際宇宙ステーションとの直接無線交信成功!」のニュースが報じられ、興奮した子ども達のコメントも各プレスから流れています。
ここでは、この快挙を成し遂げたJK1ZAM無線ボランティアさん(以下メンバー)の取り組みの一端をご紹介します。
 「無線教室」は児童センター開館当初から開かれていましたが、指導者からこの教室を更に活発化させ、一人でも多くの子ども達に無線の楽しみを知ってもらいたい旨の意見が持ち上がりました。そして時をおかず、「無線教室」で高い合格率を誇る横浜の県立施設をメンバーが視察し、資料等入手すると共に、ミーティングを重ねてきました。
 また、交信相手は、NASAのスペースシャトルや国際宇宙ステーションの宇宙飛行士の方とする方向になりました。
 その実現のためには、無線関係のハード面、ソフト面の整備や国を越えた各無線関係機関への申請や調整作業が必要です。そして何よりも大切な条件は、無線免許を持った日本人宇宙飛行士が「国際宇宙ステーション」に滞在していない以上、無線免許を持った子ども達が英語で外国人クルーと交信する事でした。
 全ての方面にわたって前例がないだけに、課題が山積していましたが、メンバーは各方面で高い技術力を持ったプロ以上の集団です。その困難な課題は次々にクリアーされていきました。8月の炎天下、屋上でアンテナ据え付け作業。「モールス練習機」の開発と子ども達への提供。米国ARRL事務局への申請とその後の詳細な打ち合わせ。
 付属装置の開発と実験。PR用のポスター制作。そして11月、寒風吹きすさぶ深夜、天体観測での真北の方向出し。子ども達への無線交信の指導。こうして山積する課題に取り組んでいる中でも、最初から“子供が主役”という言葉がメンバーの合い言葉でした。
 そして、シナリオ作成やカメラ撮影等メンバーの役割分担、軌道要素の最終確認など行い準備万端、「国際宇宙ステーション」直接交信の当日を迎えることができました。
 交信が成功裡に終わった今、世界で最初に日本と直接交信した人はフランク船長であることから、現在ZAMメンバーでは氏にZAMの名誉会員になってもらう方向で検討すると共に「日本最初の国際宇宙ステーションとの無線交信成功記念」QSLカード発行も予定しています。
 また、子ども達の感想文を含め各種レポート作成もあり、まだまだ忙しい日々がメンバーに続きそうです。

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