山口新聞(みなと山口合同新聞社) 1月7日発行の記事より

 

 

宇宙ステーションと無線交信

NASA教育プログラム 宇部で「アリス計画」

 

  中学生らが国際宇宙ステーションと無線で交信するNASA(米国航空宇宙局)の教育プログラム「アリス計画」が、宇部市で進んでいる。国内では数校しか実施例がなく、関係者は八月の実施に合わせた手探りの準備作業で夢を膨らませている。

  計画に携わるのは、県内中学校で唯一アマチュア無線部がある私立宇部短期大学付属中学校、山口大学無線部、日本アマチュア無線連盟県支部など。四月に小・中学生の参加者を募集し選考、ステーションが上空を通過する八月に交信する予定。

  現在は山大無線部顧問の佐伯隆助手(工学博士)が、宇部市の同大学工学部キャンパスで交信用のシステムを開発中。国際宇宙ステーションの軌道を計算し、全長約三bのアンテナを左右上下に動かして自動追尾させる装置。不測の事態に備え二組を製作している。

  今後、県内で希望団体があれば貸し出すことも考えており、基本システムを構築しようと細部を詰めている。部員で大学院生の江本久雄さん(二七)は「人が宇宙を飛んでいること自体が不思議。宇宙飛行士と交信できるなんてむちゃくちゃ夢がある」と笑顔で話した。

  国際宇宙ステーションが頭上を横切るのは数分間しかないため、手際のよさが要求される。同計画で生徒を指導する末永憲次教諭は「計画までに水ロケットの実験など、さまざまな勉強会を考えている。科学に興味を持つきっかけになってくれれば」と話している。