県内2団体が優秀賞 読売教育賞
越ヶ谷小/入間市児童センター無線クラブ 第五十三回読売教育賞の受賞者が決まり、県内からは、生活科・総合学習部門に越谷市立越ヶ谷小学校が、地域社会教育活動部門に、入間市児童センター無線クラブが、それぞれ優秀賞に輝いた。二団体に喜びの声を聞いた。
■伝統の技学び郷土愛
生活科・総合学習部門 越ヶ谷小学校(越谷市)
総合的な学習時間主任の酒井豊子教諭(48)が三年前、同校に赴任した時、児童たちの落ち着いた勉強ぶりに驚いたと言う。言葉遣いやあいさつがきちんとしている。やがて、その原因が、同校が一九九七年度から続けている「自ら学び 心豊かに生きる子の育成」をテーマとする総合学習の成果だと分かった。
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資料を整理する越ヶ谷小の大沢校長(右)と酒井教諭(左)
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「総合学習を通じ、多くの人とふれあい、人を思いやる気持ち、積極性がごく自然と育っていた」と酒井教諭。昨年度の三年生は「郷土と命」がテーマ。その一つに和太鼓を体験したが、何回もの学習の中で、重い太鼓を運ぶ大人の苦労を感じ、自然と運搬を手伝う児童が増えた。現在、その一割を超える十二人が和太鼓の練習を続けている。
「だるま、ひな人形、水引など、身近な伝統工芸の技術や職人の人間性に感動。郷土を大事にしようという思いが強まった」。そんな生き生きとした児童の姿に、酒井教諭は、これまで先輩がまとめた七年間の実践・研究を土台として、昨年度受け持った三年生の事例を中心に報告書をまとめた。
昨年、着任した大沢稔校長が全面的にサポート、十七ページ、二万字の報告書には、「総合学習が児童たち自らが考え行動するきっかけとなり、教科にも良い連携が」との願いがこもっている。
■国内初!「宇宙」と交信
地域社会教育活動部門
入間市児童センター無線クラブ(入間市)
一九八七年発足のクラブ。毎週日曜に集まり、各地との交信を楽しむ。現在は、小五から高三までのクラブ員が十五人で、クラブを「卒業」した大学生ら十四人がボランティアとして活動を手伝っている。
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受賞を喜ぶ入間市児童センター無線クラブのメンバー
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受賞理由の「(アマチュア無線では)国内初の国際宇宙ステーションとの交信」は、二〇〇一年十一月に行われ、約十分間、子供たちの英語の質問に宇宙ステーションの船長が答えた。ボランティアの一人でクラブ代表の安田聖さん(56)(一橋大教授)によると、米国のアマ無線団体への申請、ステーションを追尾するアンテナ制御の技術など、すべて前例のない準備作業は、多様な職業に従事する大人のボランティアを中心に、全員が協力して乗り切ったという。
国内初の快挙は、小中学生が無資格でも国際宇宙ステーションと交信できる制度改正に結びついた。そのため、入間市立東金子中など国内で五例が続き、八校が順番を待っている。
安田代表は、「認められてうれしい。宇宙との交信は、無線、機械、天文、英語など多方面に子供たちの関心を広げるのに、うってつけの教材だとアピールしたい」と笑顔を見せた。