
2001年11月23日(金)の夜、JK1ZAM(入間市児童センター無線クラブ)は、国際宇宙ステーションとの無線交信を大成功におさめました。これは日本で最初のアマチュア無線を利用した直接の交信となり、大きな反響を残しました。
大勢の人が見守る中、こちらからの呼びかけに国際宇宙ステーションのフランク・カルバートソン船長からの応答が聞こえた時、会場から思わず拍手がわきあがりました。全員の交信が終わり「やったー、バンザイ!」と喜ぶ14人の子供オペレーター達を見ると、このプロジェクトにかかわったボランティアメンバー達はとても大きな感動を覚えました。



フランク船長達(第3次クルー)のワッペン
当日は、入間市児童センターの職員の方々とJK1ZAM(入間市児童センター無線クラブ)のボランティアメンバーが一体となり大イベントを進行させました。
また、JJ1ZWF(入間市アマチュア無線クラブ)のメンバーの方々が入間市児童センターの屋上に設置された国際宇宙ステーションの軌道を自動追尾するクロス八木アンテナをビデオ撮影し、アマチュア無線を利用し階下の会場のテレビにアンテナの動きを映し出してくれました。さらに、英語での交信内容は会場のプロジェクターを利用し映し出されましたが、これには入間市のアシスタント・イングリッシュ・ティーチャーの方や英語の先生の協力を得ていました。
その他多くの方々の協力を得られたことはありがたいことです。おかげさまで、当日はとてもビジュアル会場になり、こられた方々からは大好評でした。

全員が交信に成功しガッツポーズ
交信音声の一部が聞けます!(wavファイル255k)
◆ ARISS計画とは
ARISS(Amateur Radio on the International Space Station)、通称アリスと呼ばれているこの計画は、アマチュア無線で国際宇宙ステーション(ISS)と交信してみようという夢のある計画です。JK1ZAM(入間市児童センター無線クラブ)ではアマチュア無線を通じて子供達に夢を与え、科学への興味の増進を願って本年2月より、ARRL(American Radio Relay League)に対しこのARISSのスクールコンタクト希望を申請していました(この時点では日本に窓口が無かった)。
アマチュア無線で日本から、国際宇宙ステーションと直接交信するのは、初めての企画となっていました。なお、この時点では日本に申請窓口が無かったのですが、今後はJARL(日本アマチュア無線連盟)が窓口になる予定のようです。

◆ ARISS実施
JK1ZAMでは、ARISS計画を来年の2月ごろ実現するスケジュールで進めていましたが、2001年11月の予測より早い時期の実施が決定されました。
21日(水)のJST(日本標準時)22:54分からの予定で準備が進められていました。当初の実施日の前日にISS側の都合により予備日に変更するとの連絡を受け、23日(金)のJST22:32分からの交信が最終決定されました。
この時点で、このARISS計画は入間市教育委員会の主催となり、総務省、JARL、入間市長等の来賓を迎える一大イベントに成長し、当日は200人近くの人々が会場に集まり、交信を見守りました。
◆ 短時間の交信
実際のアマチュア無線での交信可能時間は、JK1ZAMがある入間市から見るとISSが地上付近から出て上空を通過し地上付近に消えるまでとなります。ISSは地上約400kmの低軌道を回っているので速度が非常に速く、約10分程度の短時間しか直接の交信ができません。JK1ZAMでは、当日のISS軌道に合わせ、クロス八木アンテナをパソコンでコントロールし追尾させました。


夜空に向いISSを追尾し動くアンテナ