V00.13 05/31/06
臨時に開設するアマチュア局で交信を行う場合
(ARISSスクールコンタクト)
安田 聖 7M3TJZ
本説明書は、平成14年3月22日に告示されました「平成14年総務省告示第154号」に従って臨時に開設するアマチュア局(特例局と呼ぶこともあります。)で国際宇宙ステーション(ISS)と交信を行う場合の、臨時に開設する社団局の申請方法について記述したものです。社団局の申請についてある程度の知識をお持ちの方を対象に書かれていますので、内容についてよく分からない場合は、安田(7m3tjz@jk1zrw.ampr.org)まで問いあわせて頂くか、ARISSスクールコンタクトの申請書に記入されましたradio contact coordinatorもしくは、assisting local amateur radio clubのメンバーとよく打ち合わせてください。
平成14年総務省告示第154号は、下記のとおりです。
国際宇宙基地に開設されたアマチュア局と通信を行うことによって科学技術に対する理解と関心を深めることを目的として社団が臨時に開設するアマチュア局(アメリカ航空宇宙局が承認した組織により当該通信に係る日時等が割り当てられており、当該通信を行うことに関して教育に資するものとして教育委員会等の後援、推薦等を受けている場合に限る。)の無線設備の操作を、次に掲げる条件により学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第二十三条に規定する学齢児童及び同法第三十九条第二項に規定する学齢生徒が行う場合
一 当該アマチュア局に選任されている無線従事者である第一級総合無線通信士、第二級総合無線通信士、第三級総合無線通信士、第一級アマチュア無線技士又は第二級アマチュア無線技士の立会いの下で行う無線電話の操作(連絡の設定及び終了に関しない通信操作並びにこれに付随して行うプレストーク方式による送受の切替えに限る。)であること。
二 当該操作に立ち会う無線従事者が行うことができる無線設備の操作の範囲内であること。
本告示に従って「臨時に開設するアマチュア局」を申請して国際宇宙ステーション(ISS)と交信を行う場合は、一定の条件のもとで小中学生に限り無線従事者資格が無くても交信ができます。ここで言う社団は、国際宇宙ステーションと交信するために臨時に開局するクラブ局で、免許期間が2ヵ月程度であることを除けば通常のクラブ局と同じです。JARL等から申請して開局されます記念局(特別局、特別記念局)とは異なりますので注意して下さい。(JARLの毎年の事業計画には「国際宇宙ステーションと青少年の交信をめざすARISS プロジェクトを推進するために必要な援助を行うほか、...」となっていますが、現時点では、JARLからの臨時免許の申請のサポート、機材の貸し出し、技術的支援等は、ありませんので注意してください。これまでにスクールコンタクトを実施された組織の中には、これらの援助がJARLから得られると勘違いされておられた方も居ますので注意してください。)また、告示の第二項にありますように、操作範囲は立ち会う無線従事者の操作範囲となりますので、交信メンバーの子ども達の中に小中学生の有資格者がいる場合でも、国際宇宙基地との交信に限り、立ち会う無線従事者の操作範囲まで操作が可能です。なお、臨時に開設したアマチュア局を国際宇宙基地との交信以外に使用する場合は、定款の目的に沿って運用する限り、この社団局の構成員に限り、構成員各々の操作範囲内で運用が可能です。
なお、本告示に従って臨時局を申請して交信する場合、日本の法律では第3者通信には該当しませんので、申請書の項番20の記入には注意して下さい。
下記に、スクールコンタクトの申請から交信までの大まかなスケジュールを表に示しておきます。矢印が書類の流れです。
なお、交信を臨時に開設するアマチュア局でなく既設の社団局を使用して、資格を有している社団局の構成員である子ども達で、彼らの操作範囲で交信する場合は、下記の「スクールコンタクトの申請から交信まで」で、赤色で書かれた部分は必要ありません。
スクールコンタクトの申請から交信まで
申請団体 |
ARISS各委員会 |
地方総合通信局 |
申請書 → |
ARISS-Japan |
|
|
↓ 審査 ↓ |
|
|
スクール選定委員会 |
|
|
↓ 採択 ↓ |
|
|
運用委員会 |
|
|
↓ スケジュールの調整 (1〜2ヶ月前) Mentorの割り当て (現時点では安田が担当します。) ↓ |
|
← |
交信日時のお知らせ (週単位) |
|
臨時免許(社団局) の申請 (必要書類を添付) |
|
→ |
|
↓ 交信日時の決定 (2週間前) ↓ |
|
← |
交信時間の連絡 |
→ |
交信予定の子どもの 名前と質問 (2週間前までに) |
ARISS
→ Mentorまたは運用委員まで |
|
準備状況の報告 (24時間前までに) |
→ ARISS Mentorまたは運用委員まで |
|
← |
|
免許の発給 (申請後、約一ヵ月) |
交信 |
|
|
結果報告 (交信直後) |
→ ARISS Mentorまたは運用委員まで |
|
結果報告 (交信後1週間以内) |
→ NASAへ https://neeis.gsfc.nasa.gov/JDbGenie/vol1/htdocs/edcats/user_ariss_report.html |
|
「臨時に開設するアマチュア局(社団局)」を申請するための必要書類は、
1.
無線局免許申請書
2.
無線局事項書及び工事設計書
3.
アマチュア局開設同意書(開設場所が申請者の所有する場所でない場合)
4.
社団局の定款
5.
構成員名簿
6.
教育委員会等の推薦等の書類(公文書)
7.
立ち会う無線従事者の氏名等を記載した書類(無線従事者証のコピーを添付)
8.
交信割り当ての同意書
です。
1〜5については、通常の社団局を開設する場合の申請書と同じですが定款の目的に告示にあります「国際宇宙基地に開設されたアマチュア局と通信を行うことによって科学技術に対する理解と関心を深めることを目的として...」と同じ趣旨が記入されていることが必要です。社団名は、スクールコンタクト申請書に記載した組織名(英文名)とし、無線局免許申請書の社団名には、読み仮名を振ってください。別紙1に定款の雛形を示しておきます。
構成員名簿ですが、全員が上級資格を持っている必要はありません。代表者の場合も、同様です。交信当日「立ち会う無線従事者(下記の7の説明を参照)」が、持っていれば問題ありません。ただし、申請に使用する無線機の内、少なくともどれか一台が、構成員が操作できることが条件になります。つまり、50Wの無線機(第3級アマチュア無線技士対応の無線機)だけで申請する場合は、第4級アマチュア無線技士のメンバーは含めることができませんので注意して下さい。この場合は、第4級アマチュア無線技士が操作できる無線機も含めて申請して下さい。これらは、通常の社団局の申請の場合と同じです。
6は、「当該通信を行うことに関して教育に資するものとして教育委員会等(注意1)の後援、推薦等を受けている」ことを証明する書類です。公文書で作成してもらって下さい。教育委員会等が、自ら主催することも可能です。
注意1
都道府県又は市区町村教育委員会。都道府県知事、市町村長等も場合により可。
7は、「当該操作に立ち会う無線従事者」(注意2)の氏名、無線従事者番号を記載した書類です。通常立会いは一人ですが、突発事故に備えて代理も含めて二人もしくは三人記載してください。無線従事者免許のコピーも添付してください。なお、立ち会う無線従事者は、第一級総合無線通信士、第二級総合無線通信士、第三級総合無線通信士、第一級アマチュア無線技士又は第二級アマチュア無線技士のいずれかの資格を持っている必要があります。
注意2 「当該操作に立ち会う無線従事者」とは、無線機を操作し国際宇宙基地と最初に交信を行い、コールサインの交換、RSレポートの交換(アマチュア無線による交信が成立する最低限の条件です)を行い、その後の子ども達の交信に全責任を負う無線従事者を言います。この無線従事者のことをコントロールオペレターと呼びます。
8は、交信スケジュールの割り当て状況を見ながら、ARISS運用委員から申請組織宛にお送りします。
これらの書類を揃えた上、各所轄の地方総合通信局無線通信部の陸上課もしくは陸上第三課等(別紙2参照)へ提出し、臨時免許の発給を受けてください。通常臨時免許の有効期間は交信予定日の前後1ヶ月づつ計2ヶ月です。この免許の有効範囲内であれば、機材のテストの為の運用、スクールコンタクトを記念したQSLカードの発行等をかねた通常のQSOも可能です。ただしこの場合は、臨時に許可を受けた社団局の構成員に限り、各々構成員の資格の操作範囲内で操作が可能です。(臨時免許の申請時に144MHz帯以外も含めて申請してあれば、上記目的のために免許範囲内での運用も可能です。)
なお、コールサインは地方総合通信局から8Jもしくは8Nで始まるコールサインの発給を受けて下さい。平成16年6月に「電波法関係審議基準」が変更され、サフィックスは1文字から5文字の間(最後がアルファベット)で選べます。通常は、1エリアであれば8J1ISSもしくは8N1ISSを、3エリアであれば8J3ISSもしくは8N3ISSが適当ではないかと思います。
なお、交信終了後、結果報告を1週間以内に下記URLを使用して行います。
https://neeis.gsfc.nasa.gov/JDbGenie/vol1/htdocs/edcats/user_ariss_report.html
別紙1
定 款
(名 称)
第1条 本社団は、 という。
(事務所)
第2条 本社団の事務所は、
に置く。
(目 的)
第3条 営利を目的としないで、国際宇宙基地に開設されたアマチュア局(ARISS)と通信を行うことによって科学技術に対する理解と関心を深めると共に、アマチュア無線の健全な発展を図ることを目的とする。
(事 業)
第4条 本社団は、前条の目的を達成するため次の事業を行う。
(1)アマチュア局の設置と運営
(2)国際宇宙基地に開設されたアマチュア局との交信に必要な技術の調査研究
(3)その他、本社団の目的達成に必要な事業
(社団の活動期間)
第5条 本社団に許可されている免許の期間とする。
(会員の種類と資格)
第6条 本社団の会員は、正員と准員の2種類とする。
(1)正員 アマチュア局の無線設備の操作を行うことができる無線従事者の資格を有する者(施行規則第34条第8号に規定する者を含む。)で、本社団の目的に賛同する者
(2)准員 前項の資格者以外の者で、国際宇宙基地との交信及びアマチュア無線技術に興味を有する者
(会員の資格の喪失)
第7条 会員は、次の場合に資格を失う。
(1)会費の滞納
(2)電波法令に違反し、罰則の適用を受けたとき
(3)死亡
(会員の権利)
第8条
(1)本社団の設置するアマチュア局その他の施設を利用すること
(2)正員は、総会の議決権を行使すること
(3)准員は、総会において意見を述べること
(会 費)
第9条 会費は社団に出費の用があるときに限りその都度必要額を会員数で均等に除した金額を会員が負担することで充当する。ただし、総会にて別の方法が決定した場合にはその決定に従う。
(役 員)
第10条 本社団に次の役員をおく。
(1)理事 名
(2)監事 名
(役員の選出)
第11条
(1)理事と監事は、正員の中から選任する。
(2)会長は、理事の中から選出する。
(役員の任期)
第12条 役員の任期は、本社団に許可されている免許の期間とする。
(役員の業務)
第13条
(1)会長は、本社団を代表し、業務の掌理統括する。
(2)理事は、会長を補佐し、本社団の業務を執行する。
(3)監事は、会計および理事の職務を監査する。
(理事会)
第14条 理事会は会長が招集し、本社団の業務の執行に必要な事項を決める。
(総 会)
第15条 総会は、通常総会と臨時総会とする。
(1)通常総会は、ARISSスクール・コンタクトのスケジュールが決定された旨、連絡を受けたときは速やかに開くものとする。
(2)臨時総会は、理事会または正員の2分の1以上から理由を付して要求のあったとき開催する。また、本社団の免許が失効した場合は、速やかに解散のための臨時総会を開くものとする。
(議決方法)
第16条 総会、理事会の決議は、出席者の過半数をもって行い、可否同数のときは議長の決するところによる。
(総会の議事)
第17条 総会に付議する事項は、次のとおりとする。
(1)事業計画
(2)定款の変更
(3)解散
(資 産)
第18条 本社団の資産は、設立当初の寄付財産、会費、寄付金、その他の収入とする。
(会計期間)
第19条 本社団の会計期間は、本社団局に許可されている免許の期間とする。
(届 出)
第20条 会長は、
(1)構成員(正員)に変更があったときは、すみやかに地方総合通信局長に届け出ること。
(2)この定款または理事について変更しようとするときは、あらかじめ地方総合通信局長に届け出る。
別紙2 総務省報道資料より
お 問 い 合 わ せ 先
■スクールコンタクトのアリスとの日程の調整等について
国際宇宙ステーションとスクールコンタクトを行う場合には、あらかじめアリス(ARISS)から予定日時等の割当ての同意を得ることとなっており、申込みについての相談等は、社団法人日本アマチュア無線連盟 国際課で行っております。
(社)日本アマチュア無線連盟 総務部国際課 |
〒170−8073 |
TEL:03−5395−3106 Eメール:
ariss@jarl.or.jp |
■アマチュア局の免許申請等について
アマチュア局の免許申請等に関するご質問・ご相談や、無線従事者資格を有しない小中学生にアマチュア局の操作を行わせることができる特例についてのご質問・ご相談は、お近くの総合通信局(総務省の地方支分部局)にお問い合わせください。
○北海道総合通信局(管轄区域:北海道) |
〒060−8795 |
無線通信部 陸上課 TEL:011-709-2311(内線4642) |
○東北総合通信局(管轄区域:青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島) |
〒980−8795 |
無線通信部 陸上課 TEL:022-221-0688 |
○関東総合通信局(管轄区域:茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨) |
〒100−8795 |
無線通信部 陸上第三課 TEL:03-5220-5760 |
○信越総合通信局(管轄区域:新潟、長野) |
〒380−8795 |
無線通信部 陸上課 TEL:026-234-9989 |
○北陸総合通信局(管轄区域:富山、石川、福井) |
〒920−8795 |
無線通信部 陸上課 TEL:076-233-4481 |
○東海総合通信局(管轄区域:岐阜、静岡、愛知、三重) |
〒461−8795 |
無線通信部 陸上課 TEL:052-971-9622 |
○近畿総合通信局(管轄区域:滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山) |
〒540−8795 |
無線通信部 陸上第三課 TEL:06-6942-8564 |
○中国総合通信局(管轄区域:鳥取、島根、岡山、広島、山口) |
〒730−8795 |
無線通信部 陸上課 TEL:082-222-3369 |
○四国総合通信局(管轄区域:徳島、香川、愛媛、高知) |
〒790−8795 |
無線通信部 陸上課 TEL:089-936-5034 |
○九州総合通信局(管轄区域:福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島) |
〒860−8795 |
無線通信部 陸上課 TEL:096-326-7865 |
○沖縄総合通信事務所(管轄区域:沖縄) |
〒900−8797 |
無線通信課 陸上担当 TEL:098-865-2306 |